ゲノム創薬科学においては、いかに効率的に、創薬標的遺伝子を絞り込むかが重要である。
大量のゲノム情報を素早く解析する必要があり、優れたアルゴリズムや多くのコンピュータ資源が必要である。 今日の創薬プロセスを成立させるにはバイオインフォマティクスの進歩なくしては考えられない。
ゲノム情報は素早くアクセス出来る必要があり、このためにはデータベース技術が鍵を握っている。 また、情報をいかに処理し、創薬に結びつく遺伝子を探し出せるかは、アルゴリズムに係っている。
我々の研究室で用いているマイクロアレイやGeneChipは細胞内で発現しているmRNAを網羅的に測定でき、様々な状況での細胞の遺伝子発現データを得ることができる。
例えば、病態遺伝子発現データを元に疾患のメカニズムを解明し、創薬標的遺伝子を特定することができる。 しかし、遺伝子発現データは様々な遺伝子ネットワークにより調整された結果であり、疾患の直接的な原因遺伝子よりも遙かに多くの遺伝子が発現変動しているため、多くの場合、単純に発現データを眺めて検討するだけでは結論にたどり着くのは困難である。
このデータから、疾患に関与するネットワークの上流に位置する遺伝子を見つけ出して来るには、統計解析を用いる方法が考えられてきたが、今後は、発現データのみで解析を行うのではなく、多くのデータベース上の知識と遺伝子発現を有機的に結びつけた解析を行う必要がある。

他の例としては、今までの鑑別診断が困難だった疾患に対して遺伝子発現をパターン認識を用いて鑑別判断を行うこともコストが見合えば可能になりつつあり、バイオインフォマティクスによるテーラーメイド医療への1つの可能性として注目されている。
同様に遺伝子発現パターン認識を用いると、薬物の毒性をある程度評価出来ることも知られている。 評価方法は次のように行われる。まず、副作用のある薬物を投与した際の発現パターンおよび、副作用のない薬物の場合の発現パターンをあらかじめ用意しておき、それらをコンピュータに学習させる。
次に、毒性が未知の薬物を投与し発現パターンを測定する。得られたパターンがどちらのパターンと類似しているかを調べることで、毒性を評価できる。
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(KEGGより) |
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現在はマイクロアレイやGeneChipによる遺伝子発現データが利用されているが、今後はそれに加えてタンパク質チップによる遺伝子発現データが利用されるようになることや、遺伝子間相互作用データベースの充実などにより、遺伝子発現データと細胞シミュレーションモデルを統合した解析などが行われるようになると思われる。